【考察】「PUがすべて」についての誤解
2020/10/26
今日も地球のどこかでは様々の対立が生まれ罵詈雑言を含んだ意見の応酬が繰り広げられているだろう。
その中でも決着がついたかに見えてなかなか終わらないのは
「エレキギターはPUが全て」vs「材の良し悪しが重要」という両派閥の対立である。
旧ブログではこんな記事を書いて考察してみた結果
「結局はトータルバランスだよね」という身も蓋もないというか糞つまらん結論に達した。
つまらない結論ではあるがこれは一種の悟りに近い
一つ一つ理論立てて得た結論なので
一つのパーツで音が決定するというような極論に振り回されることがなくなった。
そう思うようになって改めてネット上で「PUがすべて」派の意見を眺めてみると
全員ではないが一部PUに関して誤解があるのではないか?と思うようになった。
例えば
「PUが音を拾う」
この言い回しに違和感を感じるか感じないか
勿論上記の言い回しは普通に使うし意味も通じる。
しかしエレキギター単体の音を語るときにはちょっとおかしい言い方だと思う。
ご存じの方には当たり前のことだがエレキギターのPUは
磁界内で金属が振動することにより電流を発生させる仕組みである。
つまりエレキギターにおいてPUは音を拾うのではなく振動を電流に変換しているだけなのだ。
言い方を変えるとA=440㎑であれば1秒間に440回振動したことにより発生した電流(電気信号)ということ。
これに対して「PUで音を拾う」という言い回しから想像するのは「マイクで音を拾う」というイメージになる
つまりこういうイメージ
マイクロフォンで音を拾うこととマグネットPUで振動を拾うことの違いは何かというと
マイクロフォンの構造を考えてみればわかる
物凄く簡易的な図であるがこれがマイクの仕組み
空気の振動(=音)で振動板が動きそれをコイルに伝えて電流を発生させる
対してマグネットPUはというと
磁界の中で弦が振動し電流を発生させる。
つまりマイクロフォンの振動板にあたるのが弦ということになる。
実際高出力のPUを取り付けたギターをアンプフル10にして弦を間に挟みPUに向かって叫べばアンプから再生される
それを録音したのがStive Vaiの曲「Erotic Nightmares」3:03に聞こえる叫び声はそうやって録音されたもだそうだ。
ライブでもしっかり再現
でだ
音を電気信号に変える装置の基本は
振動板、コイル、磁石ということになるわけだが
勿論それだけでは音の質とかは決まらない。
マイクの場合だったら
磁石の強さ、コイルの巻き数、振動板の材質・厚さ・大きさ・それら以外のマイクの構造でハイよりだとかミッドよりだとか指向性だとかが決まる
ではそれをエレキギターに置き換えて考えると
PUで決まるのは磁力とコイルの巻き数や巻き方
振動板の固定方法やコイルから振動板までの距離、本体の設計等
振動板にあたる弦に影響を与える要素はいろいろある。
こう考えると一つのパーツにだけこだわって良いの悪いの言うことはナンセンスなことではないかとおっちゃんは思うのである。
車で考えるともう少しわかりやすいかもしれない。
車はエンジンがすべてだ!
車はタイヤが大事だ!
車は本体のシャーシが重要だ!
こんなこと言ってたら極論に振り回される馬鹿だと思うだろう。
パワーがあっても乗り心地悪けりゃ駄目だし
足回り良くてもエンジンが駄目ならちゃんと走らないし
どんだけ頑丈でもエンジンとタイヤがなけりゃ走れない
ほら
結局はトータルバランスという結論にしかならない。
後は自分好みにカスタマイズすればいいだけ
車と違ってギターならお手軽
というわけで今日も私はギターを弄繰り回すのであります。